スパークルバレー哲学:アビゲイルの不可能な選択
更新日:10月13日
想像力を生き生きと保つ選択
シリーズ全体の中で恐らく最も重要な部分、つまりアビゲイルが究極の選択を迫られる場面について話しましょう。それは第3巻の終盤で起こり、「生命の粉」が関係しています。
では、生命の粉とは一体何でしょうか?それは、あらゆるものを現実のものにできる特別な物質です。そして、アビゲイルにとって特に魅力的なのは、彼女の夢がエミリーの本当の妹になることだからです。この粉があれば、それが実現できるのです。彼女は、自分がエミリーの本当の妹であり、エミリーが目をそらしても消えない世界を想像します。そして、物語の最後には、実際にこの粉を使う機会が訪れます。これが選択です。しかし、なぜそれは「不可能」なのでしょうか?
休憩
第3巻の終わりまでに、スパークルバレーは文字通り真っ二つに分裂する。片方は現実から完全に切り離され、前に進み、成長していく。もう片方は混沌とした想像の世界へと分裂していく。地に足がつかない。鳥は象ほどの大きさになり、雨は逆さまに降る。どちらにせよ、スパークルバレーは破滅に向かっている。
アビゲイルはエミリーに手を振って別れを告げる
アビゲイルもそれを理解している。彼女はこう言う。「ハンクに二つの世界を切り離させてはいけないし、フランクにそれらを融合させさせてはいけない。私たちは両方の世界を維持し、バランスを保たなければならない。」
つまり、ここで問題にしているのはアビゲイルが何を望んでいるかではなく、エミリーの心の中に存在するこの世界、この脆い世界が、そもそも存続できるかどうかということなのだ。
アビゲイルは、その代償がどうなるかを知っており、それが彼女の選択を左右する。エミリーは現実世界に属するべき存在であり、自分はそうではない。アビゲイルはそれを理解しているが、エミリーへの愛はあまりにも大きい。そして今、スパークルバレーは滅亡の危機に瀕しており、彼女はエミリーと共に行くべきか否かという、恐ろしい決断を迫られている。だからこそ、その選択は「不可能」なのだ。
選択
その選択は別れを意味する。永遠の別れを。しかし彼女はそれを選ぶ。エミリーを送り出し、自分は残る。
そして彼女は他の人たちにこう告げる。「私はここにずっといるつもりよ。」
そして、本当の選択が訪れる。本当に重要な選択だ。これは、終わりを意味するため、実際に書くことさえ困難だった選択だ。彼女は粉を使わないだけでなく、それを破壊してしまう。だから物語は終わらない。え?そう、「終わらない」のだ。
ここでローティを再び登場させるのが有益だ。なぜなら、彼の視点によって、彼女が何を守ろうとしているのか、そしてそれがどれほど重要なのかを正確に理解できるからだ。

彼女が守るもの
ローティは、完成された世界という概念を一切否定していることを忘れてはならない。彼の世界は常に再構築され続けている。アビゲイルと同様、彼にとって重要なのは物事を未完成のままにしておくこと、緊張感を維持することなのだ。
そして、その粉末はそれら全てを消し去るだろう。殺してしまうのだ。
しかしアビゲイルはそれを拒否する。彼女は「不可能な選択」を下す。最大の犠牲を払うのだ。誰もが彼女を屈服させると思うような誘惑に駆られながらも。なぜなら、もし彼女が屈服すれば、大切なものすべてが終わってしまうことを知っているからだ。ローティの言葉を借りれば、それは「対話」を終わらせてしまうことになるのだ。
そして、ここで青い花が登場する。それは、エミリーの中にまだ信じる気持ち、つまり火花のようなものだ。しかし、それは現実からの逃避ではない。現実の中にある。アビゲイルはそれを守っている。
エミリーは成長するだろう。しかし、彼女はその繋がりや想像力を失うことはない。アビゲイルが残ることを選んだことで、それが確実になったのだ。




